さて今回は、行動経済学に目を向けてみたいと思います。
行動経済学とは!?
冷静で合理的な人間を前提とする伝統的経済学に対して、現実的な人間の心理や社会性を考慮するのが行動経済学です。
一般的に人間は、常に合理的に物事を考えているようでも、実は非合理的な行動をとっていることが多々あります。ただ、今までの経済学では、この外から見えない“心の動き”を、誰もが妥当と認めることができる客観的な方法が無かったため、「合理的」に考えざるを得なかったわけです。
しかしながら、不動産や株式市場における“バブル”とは、後から振り返れば、決して合理的な投資行動とは言えず、まさに人間の非合理的行動の代表例ということができます。したがって、最近では、経済学や資産運用の世界においても、この行動経済学に注目が集まっているのです。
気付きにくい勘違い「確実性効果」
行動経済学の“気付きにくい勘違い”の一つに、「確実性効果」というものがあります。これは、その名の通り確実性を重視する人間の心理状態を表しています。
例えば、カードゲームで考えてみましょう。
<ケース1>
いまここに、15万円を確実に受け取ることができるカードAと、80%の確率で20万円・20%の確率で0円となるカードBがあったとします。
あなたなら、どちらのカードを引くでしょうか?
たぶん、多くの人がカードAを選ぶと思います。なぜなら、“確実”に15万円を手にできるからです。
<ケース2>
では、次に、5%の確率で15万円受け取れるカードCと、4%の確率で20万円受け取ることができるカードDの場合は、どうでしょうか?
私の経験上、この場合Dを選ぶ人が大半です。その理由の多くは、「4%と5%程度の確率の違いなら、5万円多くもらえたほうがよいから」といったものです。
しかし、実はこの2つのケースの選択方法には、矛盾があります。
上記の例は、以下のように言い換えることができます。
「カードCは5%の確率でカードAと同じ15万円を受け取れ、カードDは4%の確率でカードBと同じく20万円を受け取れる」
したがって、確率としては同じなのに、なぜ、ケース1ではカードAを、ケース2ではカードDを選ぶのでしょうか。
「確実性効果」の落とし穴
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